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番外編一太と地竜(ディノン)さん
「起こしたか?悪いな」
しんと静まり返った薄暗い部屋には窓がないから、今が朝なのか昼なのか全く分からない。
何かされるんじゃないかと警戒し、殆ど一睡も出来なかった。でもどう頑張っても睡魔には勝てなくて。うとうととしていたらカタカタと聞こえてきた物音で目が覚めてしまった。
「出掛けてくる」
地竜さんの側には見上げるくらい背の高い大男が立っていた。
あっ、この人・・・・・・
昨日台所で僕をずっと見張っていた男だ。まるで能面みたく寡黙で無表情で、近寄り難い雰囲気を醸し出していた。
「未知、昨日のこともあるからマーナオから何か食べ物を貰っても絶対に口にするな。あと浩然の世話や厨房に行く以外なるべくこの部屋から出るな。いいな」
用心するように何度も念を押されこくりと頷いた。
「コイツは刃《ダオレン》。俺の右腕だ。コイツを俺の代わりに置いていく。何かあれば声を掛けろ。ダオレン未知を頼む」
分かりましたと表情一つ、眉さえも微動だにせず片言の日本語で答えると、さっきまで地竜さんが座っていた椅子にどかっと腰を下ろした。
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