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番外編 千思万考
「伊澤から聞いた話しでは、真沙哉は黙って最後まで聞いていたそうだ。俺は大切にしなければいけない人達を大勢傷付けた。本当は弟や、琥珀という子を守ってやらなければいけなかったのに、取り返しのつかないことをしてしまった。と時折涙ぐみながら謝罪の言葉を口にしていたそうだ」
お義父さんに続き、お祖父ちゃんが言葉を継いだ。
「記憶がないことを言い訳にはしたくない。ちゃんと罪を償って、自分が傷付けた人達に謝りたいと真沙哉はそうはっきりと言ったそうだ。それでな、未知。折り入って頼みがあるんだが・・・・焼きもち妬きの亭主にはこれから話しをする」
お祖父ちゃんが言いたいのは、恐らくマーナオさんの事だ。
彼は今まで辛い想いをして生きてきた。まさに生き地獄のような人生だったってそう言ってた。
だから彼にも紗智さんみたく幸せになって欲しいもの。
最初は間違いなく紗智さんと喧嘩ばかりだけど、一緒に暮らすうち仲直りして、気が合う一番の親友に絶対になれると思う。
「お祖父ちゃん、お義父さん、マーナオさんの面倒は僕がみるから、だからお願い。真沙哉さんの帰りを待ちながら、このまま日本で暮らせるようにしてあげてください。どうか、お願いします」
鼻を啜りながら二人に頭を下げた。
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