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番外編 暗澹
子供達のことが心配で急いでペンションに戻ると、賑やかな笑い声が外にまで漏れていた。
鳥飼さんや蜂谷さん、それに玉井さんと遊んでもらい一太も遥香も大はしゃぎしていた。
「太惺、心望。元気にしていたか?」
心望は橘さんに、太惺は紗智さんに、ぞれぞれソファーの上で抱っこして貰い、布製のがらがらで遊んで貰っていた。
久し振りに会うからな、絶対にまた泣かれるだろうな、彼が恐る恐る顔をそぉーと覗き込んだ。
最近になり人見知りをするようになった二人。
目をパチパチさせてじっーとパパの顔を見詰めた。
あーうー、はじめ不思議そうに首を傾げていた太惺。大好きなパパの声にニコッと破顔するとちっちゃなお手手を懸命に伸ばし抱っこをせがんだ。
心望もパパだって分かって声を立てて笑っていたけれど、彼より橘さんの方がいいみたいで、服をぎゅっと掴んだまま離れようとしなかった。
「未知さん、那和さん話しを聞かせて貰ってもいいですか?」
蜂谷さんと玉井さんに言われ、那和さんとリビングに移動した。スケッチブックを手にした若い男性が僕達のことを待っていた。
「似顔絵作成に協力して貰いたい」
厨房で夕食の仕込みをしていた惣一郎さんと和江さんが心配そうに、何度も僕達を見ていた。
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