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番外編 尽くす愛
「寝首をかられる覚悟で手元に引き取ったんだが、意外と根は真面目な子かもしれない。読み書きは小学校低学年レベル、簡単な足し算や引き算さえ全く出来ない。兄弟子たちに読み書きや計算を教えてもらいながら、文句一つ言わず血の滲むような努力を続けている。若いのにたいしたもんだ」
秦さんがスカルさんを褒めていた。
実はな未知、彼がもう一つ僕に隠していたことがある、そう切り出してきた。それは……
よほどお腹が空いていたのかスカルさんの分までペロリと平らげたお兄ちゃん。
「そろそろ時間だ」
腕時計を何度も見ていた玉井さんがお兄ちゃんの腕を掴もうと手を伸ばした時だった。
反射的にスカルさんがお兄ちゃんの手を引っ張り自分の方に引き寄せた。
「もう少しだけ、あと少しでいいから、お願いします」
玉井さんに必死で哀願した。
「青空、あと一年辛抱しろ。その頃には尊も仮釈放され、一緒に暮らせるようになる。秦に感謝しろよ。お前と尊の身元保証人を二つ返事で引き受けてくれたんだから」
「兄貴が・・・・・」
蜂谷さんの言葉にスカルさんは声を 震わせた。まさに寝耳に水だったのだろう。
「真人間になれ。それが恩返しになる」
スカルさんはお兄ちゃんの手を静かに離した。
「青空俺達も帰るとするか。でもその前に、もう一っ風呂浴びるぞ。青空、お前もだ。行くぞ」
お兄ちゃんを見送ったあと、天空の湯という展望露天風呂が有名な日帰り温泉があるからと、スカルさんを連れていった。
秦さんも息子が二人増えて何だか嬉しそうだった。鼻唄を口ずさみながら、彼や惣一郎さん、それに橘さんらに手を振りながら、迎えに来た車に乗り込んでいった。
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