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番外編 尽くす愛
「スカルは昇龍会(うち)に来てから、空ばかり見ていた。聞くと学校に一度も行かせてもらえず、閉じ込められていた部屋の窓から空ばかり見ていたそうだ。そんなに空が好きなら、スカルっていう物騒な名前は封印して、そらっていう名前に変えたらどうだ、そう言ったんだ。だから゛青空゛と書いて゛そら゛だ。青空を連れて何度も尊の面会に行っていたら、おじちゃん、おじちゃんって懐かれてしまって……青空には焼きもちを妬かれるし、いゃ~~ぁ参った」
秦さんが頭を掻いた。
ちょうどそこへトレイを手にした橘さんと和江さんが入ってきた。
ふわふわしてて甘い匂いが辺りを包み込んだ。
「スカル………じゃない。青空、尊としばらくまた会えなくなるんだ。一緒に朝メシを食べていけ。お袋特製のパンケーキだ」
「すみません……感謝します」
蜂谷さんの気遣いに、スカルさんは目に涙を浮かべ頭を下げた。
「熱くないか?」
「ゆっくりでいいからな」
くまのぬいぐるみを抱き締めて離そうとしないお兄ちゃん。スカルさんはそんなお兄ちゃんを甲斐甲斐しく世話をしながら、パンケーキを一口大に切り分け食べさせてあげていた。
本当は二人きりにしてやりたいんだが、すまんな。蜂谷さんが申し訳なさそうに謝っていた。玉井さんらお巡りさんに監視されていても、スカルさんはすごく幸せそうだった。
二人の邪魔をしないように、少し離れた席に移動した。
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