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番外編 尽くす愛

「頭を撃たれて丸三週間、生死の境をさ迷った。目覚めた俺に、卯月はこう言った。尊を誰よりも愛しているなら、罪を償いながら生き直せ、尊にはお前が必要だ。帰りを待ってくれる人がいる、それが尊の生きる力になるんだって。だから俺は、兄貴のカバン持ちとして一から出直すことにした」 スカルさんのいう兄貴とは、秦さんのことだった。 一から性根を叩き直してほしいと自ら志願したと、彼がそっと教えてくれた。 「スカルさん、お兄ちゃんのことをお願いします。幸せにしてあげてください」 僕も二人に頭を下げた。 「いゃあ~~朝風呂は最高だな。しかも空気が上手い」 上機嫌で姿を現したのは秦さんだった。まさかここまで来てくれるなんて予想もしていなかったから腰を抜かすくらいびっくりした。 「青空(そら)、用は済んだか?」 「はい、兄貴」 すくっと立ち上がると腰を九の字に曲げ頭を下げるスカルさん。 「そら?」首を傾げると、 「未知ちゃん、今まで黙っていてごめんな。事情が事情だろ?だから本当の事を言えなかったんだ。あっ、そうだ、肝心なことを言い忘れるところだった。妊娠おめでとう」 秦さんがお兄ちゃんの隣にゆっくりと腰を下ろした。 「おじちゃん、こんにちは」 「おぅ、元気だったか?」 「うん!」ニコニコと満面の笑みを浮かべ、秦さんに、ねぇねぇ、息子の未知だよ。可愛いいでしょう、そう言いながらくまのぬいぐるみを自慢気に見せた。

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