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番外編 穏やかで愛おしい日々
家中が子供達の明るい笑顔と笑い声に包まれてとても賑やかだった。でも楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、裕貴さん家族が東京に帰る日が来た。午後には鷲崎組の組長である鷲崎さんと、奥さんの七海さんが来ることになっていた。
「やだやだ‼かえんない‼」
優真くんは家中逃げ回り、最後は一太の背中に隠れ、ぶんぶんと首を横に振り、頑として靴を履こうとしなかった。
「にいにとねえたんといるの」
心さんに宥められてもイヤイヤを繰り返すばかりで、裕貴さんと心さんはほとほと困り果てていた。
「無理に引き離すのも可哀想だ。昼寝をしたらそのまま連れて帰ろう」
「うん、そうだね」
「ゆうくん、おひるねしない。にいにとねえたんとあちょぶの」
優真くんはこれでもかと頬っぺたを膨らませ、二人を睨み付けた。
「強情なのは誰に似たんだ」
「誰って、ひろパパしかいないでしょう。ねぇ、ゆうくん」
くすくすと笑いながら心さんが一太と優真くんの前にしゃがみこむと、うん‼元気な声が返ってきた。
「たく、仕方ないな。好きなだけ遊んでこい。ただし夜になったらうちに帰るぞ」
ため息をつきながらも、最後は裕貴さんが折れた。
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