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番外編 穏やかで愛おしい日々
「未知、元気そうだな」
男性が寝室に顔を出してくれた。
手を振ってくれた男性も一緒だ。
『奥さんの七海さんは、あとから来るんですか?』
メモ帳に書いて見せた。
それを見るなり、男性が急に笑い出した。
「橘の事だから未知を驚かせようとしたんだな。あとで覚えておけよ。七海はここにいる」
やせ形の男性の腰に腕を回すと自分の方に引き寄せた。
そしてそのまま目尻にチュッと軽く口づけをすると、今度は唇にぶちゅと自分の口唇を押し付けた。
「だめ、子供の前だから」
「別に減るもんじゃねぇし別にいいだろう」
「だめなものはだめ!」
「はぁ?」
太惺と心望は、目をまんまるくして人目を憚らずいちゃつく二人をあんぐりと口を開けて眺めていた。
僕もどうしていいか分からなくて、目の置き場に困ってしまった。
「鷲崎さん、いちゃついても構いませんが、そのうち裕貴さんの雷が落ちますよ」
見かねた橘さんが助け船を出してくれた。
「未知さん、鷲崎組の組長の鷲崎さんと、和泉七海さんですよ」
卯月未知です。
えっと……菱沼組、組長、卯月遥琉の妻です。こんな感じ伝わるかな?
エヘヘと笑って、慌てて頭を下げた。
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