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番外編穏やかで愛おしい日々
七海さんが太惺を、橘さんが心望をそれぞれ抱っこしてくれた。
七海さんがチラッと鷲崎さんの様子を伺うように視線を向けた。
「ガキに焼きもちを妬かない。遥琉と男の約束したんだ。好きなだけ抱っこしろ。ただし………」
「鷲崎さんは、本当に七海さんが好きなのね」
和江さんがホホホと声を立てて笑った。
「息子がね、結婚した途端、鷲崎はまるっきり人が変わった。前より優しくなった、そう話していたのよ。奥さんがまさか男性だとは予想外だったけど、本当に仲睦まじくて羨ましいわ」
大切な人達と過ごす賑やかなひととき。
みんな僕の味方。
神様、ありがとう。
記憶も言葉も失くした僕に、素敵なプレゼントを贈ってくれて………
(鷲崎さん、病人じゃないので歩けますから、下ろしてください)
「暴れんな、落とすだろう」
惣一郎さんが借りてきてくれた車椅子に乗り、一太と遥香に押してもらい鏡ヶ池まで散歩に出掛けたのはいいけれど・・・・
着くなり鷲崎さんにお姫様抱っこされてかなり慌てた。だって七海さんがすぐ側にいるのに。
「昨日も言ったはずだ。七海は未知だけには焼きもちを妬かないってな」
身の置き場に困り目を逸らすと笑われてしまった。
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