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番外編 穏やかで愛おしい日々

心さんと紗智さんと那和さんが、手際よくレジャーシートを広げてくれて、長座布団の上に静かに下ろしてもらった。 「ちょうどいい、おやつの時間だ。何が食べれるか分からなくてな、適当に買ってきた。ちょっと待ってろ」 鷲崎さんが近くに控えていた部下に命じ、大きめのクーラーボックスを運んできてもらった。 子供達がその回りにちょこんと座り、興味津々、目を輝かせて中をそぉーと覗き込んだ。 仙台といえば、牛タンにずんだ餅に笹かまだろ?あと、巷で美味しいって評判の生パイに、シューラスクに、カステラに、ずんだロールケーキに………あと、黒糖まんじゅうもあるぞ。 次から次に見たこともないお菓子が出てくるものだから、子供達は目を丸くして驚いていた。 「寒くない?」 七海さんがタオルケットを膝に掛けてくれた。 ありがとうございます。 言葉に出来ない代わりに笑顔で返した。 心さんが裕貴さんを、橘さんが和江さんと惣一郎さんを呼んできてくれて。 みんなで3時のおやつを囲むことになった。 「橘さん、私達がたいくんとここちゃんの面倒をみますから、先にどうぞ」 「朝からずっと立ちっぱなしなんですから、先に休んでください」 つかまりだちもハイハイもすっごく上手になった太惺と心望。 オムツ交換をしようとしても、遊んでもらえると思って逃げ回る二人を追い掛けるのもかなり大変みたいで、子育てはまさに体力勝負です。橘さんがそんなことを口にしていた。

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