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番外編 新たな敵、炎竜

「ままたん、このおはな、なぁ~に?」 庭先でしゃがみこみ熱心に何かを見ていた遥香が橘さんにそんなことを聞いた。 「福寿草ですよ」 「ふくじゅそう?」 きょとんとして首を傾げる遥香。 「ハルちゃんにはちょっと難しいですね。このお花にまつわるこんなお話しがあるんですよ。昔々、※)クノンという名前の美しい女神さまがいたそうです。父神様がクノンを土竜の神と結婚させようとしたんですが、クノンは嫌だときっぱり断りました。それに怒った父神様はクノンを福寿草の花に変えてしまったそうです」 橘さんが遥香の隣にしゃがみ込んだ。 「福寿草は光の花です。一生、光を避けた生活など耐えられるものではありません」 「ディノンしゃん、もぐらしゃん」 「そうですね。今まで土竜さんでしたね。ママに出会って、ハルちゃんに出会って、これからは胸を張ってお日様の下で一緒に暮らせますね。ハルちゃんは地竜さんが好きですか?」 「うん!」 遥香が何かに気付き、すっと立ち上がった。 「あっ、みっちゃんだ!」 出掛けていた遼成さんと龍成さん、それに光希さんがちょうど車から下りるところだった。大きい声を上げ笑顔で両手を大きく振った。 「ハルちゃんただいま」光希さんもすぐに気が付いてくれて、手を振ってくれた。 ※)アイヌの民話から引用させて頂きました。

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