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番外編 彼からの告白

「那和の悲鳴が聞こえたから様子を見に来たんだが、良かった。無事で……流石昇龍会の組長。すっかり箔が付いたな千里」 竹刀を握り締めた惣一郎さんが姿を見せた。 「いやぁ~~ん、もう、惣ちゃんたら、誉めすぎ」 いつもの千里さんらしい笑顔と甲高い声に、それまで張り詰めていた空気が一気に和んだ。 「龍成、余計なお節介かも知れないが、酒と女に溺れ道を外し悪党に食い物にされ死んでいった人間を儂は何十人と見てきた。千里の言葉にも一理ある。鷲崎のところでもういっぺん修行してこい」 「蜂谷さんすみません」 遼成さんの表情が引き締まった。 「おっ、その面構え。親父さんそっくりだな」 「狸親父と一緒にされたら困ります」 「お、そうか。それは悪かったな」 惣一郎さんが機嫌良く笑っていた。 「龍成、しばらく鷲崎の厄介になれ」 遼成さんの言葉にしゅんとして項垂れ、光希さんをチラチラと何度も見ていた。 「たくお前は」 やれやれと呆れたようにため息をつくと、 「分かったよ。光希を月の半分お前のところにやる。それで文句あるまい」 「やっぱり兄貴。話が分かる」 「たく現金な奴だ」 やはり血の分けた兄弟。年が離れていてもなんだかんだといっても仲がいい。 こんな素敵な二人に愛される光希さんが羨ましい。そんなことを思っていたら、 「俺は未知が羨ましいよ。遥琉や鳥飼、それに地竜、みんなに愛されて、大事にされている未知が」 逆に光希さんに言われてしまった。

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