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真の黒幕

「玉井は、11年前に殺された泣き黒子のガキの母違いの兄だ。年が18も離れているから誰も気付かなかった。玉井の一番側にいたのに、こんなことになる前にもっと早く気付くべきだった」 蜂谷さんが悔しそうに唇を噛み締めた。 「ハチ、お前は悪くない」 鞠家さんが声を掛けた。 「タマが本庁から福島県警に異動になった理由は、ある犯罪組織との癒着が噂になったからだ。タマは否定も肯定もしなかった。俺がもっと親身になって話しを聞いてやればこんなことにならなかったかも知れない」 そんな二人に彼と惣一郎さんは声を掛けたくても掛けることが出来ずにいた。 「揃いも揃って湿気た顔をして。休憩しようか?」 お祖父ちゃんが淹れたてのコーヒーを運んできてくれた。 「未知にはノンカフェインのカフェオーレ、紗智と那和はウィンナーコーヒーだ。ほら、一旦休むぞ」 和江さんが子供達にもジュースとお菓子を持ってきてくれた。 「自分を責めたってしょうがないだろう。肝心なのはこれからどうするかだ。違うか?」 諭すように二人に声を掛けた。 「まずは伊澤と合流し茂原を探し出して一刻も早く保護するのが先だ。永山と樋山、どっちが炎竜なのか、ハッキリさせないとしょうがないだろう」 「播本さんは炎竜がだれか、薄々気が付いているんでしょう」 「それはどうかな?」 お祖父ちゃんは含み笑いをし蜂谷さんに言葉を返した。

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