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番外編 みんなが待ち望んだ新しい命の誕生

『明後日には退院でしょう?』 「明日診察を受けて異常がなければ…だけど。あの千里さん…」 『ネギちゃんのこと?』 「はい」 3時のおやつに出されたムースと紅茶を食べていたら、会合を終えた千里さんから電話が掛かってきた。 遥香と陽葵はまだ起きない。二人仲良く爆睡中だ。橘さんと心さんはコンビニエンスストアに買い物に出掛けていて今はいない。 『ネギちゃんね、これからも倅のことで迷惑を掛けるから組を抜けたいって遥琉に言ったみたい。でも、播本さんや度会さんに説得されてね、思いとどまったみたい』 心配していたことが現実になってしまった。 「千里さん、根岸さんは何も悪くない。だから……」 『分かってるって。未知のパパ代わりだもの。誰も責めようなんて思わないわよ』 いつもと変わらない千里さんの明るい声は、不安な気持ちを一掃させてくれた。 『ハルちゃんもひまちゃんも可愛いわね。一太もしっかりとしたお兄ちゃんになったわね。たいくんもここちゃんもあんよが出来てますます成長が楽しみね。遥琉やお兄ちゃんがこれみよがしに子どもたちの大量の写真を送ってくるのよ。嫌がらせかってくらい。でも、うちの双子ちゃん達だって負けないくらい可愛いわよ』 確か名前は……一回しか聞いてないんだよな。うろ覚えだったけど、 「えっと、あおくんに、なぎくんでしたよね?」 『あら~~ちゃんと覚えてくれてたのね。遥琉やお兄ちゃんとは大違い。さすが、アタシの妹』 上の子が(なぎ)くんで、下の子が碧人(あおと)くん。 パパの笹原さんじゃなくて、龍成さんになぜかふたりとも懐き、いつも取り合いしていたらしい。遥香と奏音くんみたいに。 だから、龍成さんが福島に出掛けるとき、この世の終わりのようにギャン泣きして、大駄々して大変だったみたいだ。

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