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番外編 みんなが待ち望んだ新しい命の誕生
「ねぇママ、ままたんは?ゆうくんママは?」
瞼を擦りながら遥香が目を覚ました。側にふたりがいなくて今にも泣き出しそうになった。
「ハルちゃんのおやつを買いにコンビニに行ってるよ。そろそろ帰ってくる頃だと思うんだ。もうちょっと待ってようね」
「うん、わかった。あ、そうだママ」
遥香が辺りをキョロキョロと見回した。
椅子の上に置いてあるリュックを見付けると、むくっと起き上がり何かを取りに向かった。
「ななちゃんも、みっちゃんもかぁいいかったんだよ」
「何が可愛かったの?」
「エプロン。ぴんくで、ふりふりの。りゅうさんも、りょうさんも、おめめまるくしてた」
「そうなんだ。ママも見たかったな」
「はい、ママ」
遥香から紙袋を渡された。
「おにぎりはハルちゃんがつくったんだよ。おかしはままたんとななちゃんとみっちゃんとハルちゃん、よにんでつくったんだよ」
「ありがとう。ママ嬉しい」
えへへと照れ笑いする姿がなんとも可愛い。
「あ、りょうさんだ!」
「え?遼成さん?」
遥香がドアを指を指した。顔を上げると、遼成さんと目があった。
「あっ……」
姿勢をただしボサボサの髪を慌てて直した。
遼成さんはニコリともせず陽葵の寝顔を覗き込んだ。
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