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番外編 シェドという謎の男
「亜優に、コウ何とかっていう名前を昔、聞いたことがあるのかって聞いてくれないか?」
柚原さんに頼んだあと地竜さんにも同じ内容を入力し送信した。
「地竜のヤツ、気付くかな」
彼と何気に目が合った。
「未知、何か一言。そうだな、地竜が一発で元気になるような一言を入力してくれ」
「そんなこと急に言われても困るよ」
「いいから頼むよ」
スマホをぽんと渡された。
「なにを書いたらいいか分からないよ」
わたわたしていたら、
「悪いことばかりとは限らないよ。
不见得都是坏事《ブー ジィェン デァ ドウ シー フゥァイ シー》」
「頑張ってね。
加油哦《ジャ ヨウオ》 未知より 」
紗智さんと那々さんが僕の代わりに入力し送信ボタンを押してくれた。
「愛してるよって書いたら飛んで来ると思う?」
「たとえ地球の裏側にいたとしても、間違いなく飛んで来る」
「面倒なことになるよね」
「うん」
「てか、寝る場所ない」
「事務所、男臭いし、暑苦しいし、狭いし、煙草臭い」
紗智さんと那和さんが顔を見合せ、クスクスと笑い出した。
亜優さんもうん、うん、二度、三度大きく頷いていた。
彼にスマホを返そうとしたら着信音が鳴った。
「ほら、やっぱり未知だと返信がすぐ来る。俺だと次の日か、下手したら三日後だぞ」
彼に焼きもちを妬かれないかどきどきしながらちらっと画面を見ると【ありがとう未知。愛してるよ】の一言のあとにハートマークが五個も並んでいた。
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