1660 / 4008
番外編 シェドという謎の男
「地竜なんて?」
「調べてみるから女の写真を送ってくれって」
「あとは?」
「ないよ」
「本当に?」
疑いの眼差しで顔を覗き込まれた。
スマホを握り締めたまま、慌てて首だけ横に振った。
【我陪你】
【你是我最爱的人】
読み方も意味もちんぷんかんぷん。
全然分からないけど、嫌な予感がしてならなかった。こういう時は触らぬ神に祟りなし。メールを消去しようとしたら、
「マー貸して」
「那和さん待って」
スイとスマホを持っていかれた。
「えっと、なになに。我陪你《ウォ ペイ ニー》你是我最爱的人《ニー シー ウォ ズイ アイ デァ レン》」
「意味は?」
彼の眉間にどんどん皺が寄っていく。
「私はあなたのそばにいるよ。あなたは私が一番愛する人です。マー、地竜に愛されてるね」
恐る恐るそっと彼の顔を見上げた。
「あのルックスだ。普通に考えたらモテモテじゃねぇか。世の女性たちも男性たちも黙ってないだろう。それなのに……バカ真面目というかなんというか」
「未知だけを一生涯愛する。浮わついた気持ちでは絶対に言えない台詞だ。遥琉や地竜にこんなにも愛される未知が羨ましいよ」
「みんなママLOVE、マーLOVE、姐さんLOVEだからな」
「それな」
彼と裕貴さんが目を見合せるなりクスクスと笑い出した。
亜優さんが何か言いたげそうな顔で、紗智さんと那和さんの袖を軽く引っ張った。
ともだちにシェアしよう!

