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番外編 シェドという謎の男

「亜優がね、ず~と気になってるんだって」 「何をだ?」 「バーバ、SNSのタイムラインをもう一回見れる?」 「おぅ、ちょっと待ってろ」 橘さんが画面が大きい方が見やすいからとパソコンを持ってきてくれた。 優雅なお茶会の様子が多数アップされた写真を橘さんがゆっくりとスクロールした。 「あ、この人」 「この人って言われてもな」 彼が目を皿のようにして画面を覗き込んだ。 「この人だよ」 紗智さんが後ろ向きで写る背の中央まで伸ばされたさらさらの黒髪の女性を指さした。スーツを身に纏い、すらりと背が高く細身の女性だった。常に夢華さんの近くにいるものの、どこを探してもその女性は後ろ姿しか写っていなかった。 「まぁ、確かに、正面から写した写真が一枚もないのはおかしい」 彼が腕を前で組んだ。 「亜優はこの女に心当たりがあるのか?」 裕貴さんが振り向き亜優さんに聞くと、女性の右足を指さした。 「足?」 言われるまで全然気付かなかったけど、よく見るとスボンの下からすらりと伸びたその足は義足のようだった。 「レンティ シー イェン」 亜優さんが苦し気に眉を寄せた。

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