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番外編 忍び寄る魔の手

「ママ大丈夫かな?」 「きっと大丈夫だよ」 不安を口にする優輝くんをめぐみちゃんが笑顔で励ましていた。 怪我をして動けないから、知人がふたりを迎えに向かっているから渡してほしいと小学校に柚さんを名乗る女性から連絡が入ったのは柚さんがいなくなったとほぼ同時刻だった。不審に思った教頭先生が、彼に連絡を寄越してくれて。柚原さんと光希さんを急いで小学校に向かわせた。 柚原さんが小学校に到着すると、ベージュ色のトレンチコートを着たふたりの女性が、なぜ駄目なのかと校長先生と教頭先生を問い詰め、揉めていたみたいで、柚原さんと光希さんの顔を見るなり慌てて逃げ出したみたいだった。 ふたりの身の安全を最優先に考え給食を食べ終わるのを待って、一太と奏音くんも一緒に連れて帰って来てくれた。 奏音くんは光希さんの側から片時も離れようとはしなかった。光希さんはあえて何も聞かず奏音くんにそっと寄り添った。

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