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番外編 ナオさんには笑顔が似合うよ

「それならそうとなんで言わなかったんだ?」 信孝さんが玄関から飛んできた。 「病院の入口に【暴力団関係者お断り】ってでかでかと書いたポスターが貼ってあったでしょう?」 「そうなのか?全然気付かなかった」 「若先生が自分の身内ということにしてくれたからH総合病院に入院出来たんだよ。もし縣一家組長の義弟だとバレたら、菱沼組幹部の妻だとバレたら、若先生の顔に泥を塗ってしまう。それだけじゃない、若先生だって、ひいろくんだってH総合病院にいれなくなるかも知れない。だから、話題に上がっても笑顔で聞き流すしかなくて、それが辛かった。暴力団だから、全部が全部悪いって後ろ指指されて、卯月さんみたく義理人情に厚いヤクザだっているのに。そう正々堂々と言い返すことが出来なくて、それが歯痒かった」 悔しさに身体を震わせるナオさん。 「カタギになった信孝をヤクザの世界に戻したのは俺だ。ナオ、辛い思いをさせて悪かった」 許してくれと彼が深々と頭を下げた。 「卯月さん、待って。そういう意味で言ったんじゃないの」 「オヤジ頭をあげてください」 ナオさんも信孝さんも予期せぬことに慌てふためいた。

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