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番外編 ナオ、サンキュー❤️
「ねぇ遥琉さん。ずっと疑問に思っていたことがあるんだけど……」
場の空気をなんとか変えたくておっかなびっくり声を掛けた。
「別に今じゃなくてもいいの。ごめんなさい。陽葵起きたかも知れないから様子見てくるね」
「未知」
「未知さん」
「姐さん」
寝室に戻ろうとしたら彼だけじゃなくナオさんと信孝さんにも呼び止められた。三人の声が見事にハモった。
「未知の勘はよく当たる。だから、疑問に思っていることを聞かせてくれ」
「うん。えっとね、ナオさんの言葉を聞いて思ったんだけど、テウさんの娘さんって駅前のホテルと羽鳥湖の立て籠り事件の現場にもいたんだよね?」
「背格好と顔が酷似している。特定はされていないが」
「だったらテウさんの娘さんが証拠にならない?調べれば同じ薬物を使用したって分かるんだよね?」
「なるほどな。誰も中坊のガキの腹に証拠を隠すとは思わないよな。父親に風邪薬だと言われて渡されれば疑わず服用する」
「オヤジ、チカに急いで連絡します。中学生を一刻も早く保護しないと」
「カプセルが溶ける前に取り出さないとガキの命が危ない。信孝、頼む。いや、待て。俺がする」
信孝さんを巡りナオさんとチカちゃんが険悪なムードになったことを思い出したみたいだった。
でもそれは昔のこと。
入院中のナオさんを気にかけて、チカちゃん何度も連絡を寄越してくれたみたいで、蟠りもなくなり、すっかり仲が良くなったみたいだった。
「チカちゃん、九鬼テウの娘さんを一刻も早く探して保護して。詳しいことはあとで卯月さんから聞いて」
ーりょうか~~い。サンキュ、ナオー
「チカちゃんも気を付けてね」
ーナオをもねー
いつの間にこんなに仲が良くなったんだ。
二人のやり取りを信孝さんが唖然として聞いていた。
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