1902 / 3282
番外編 地竜さんと弓削さん
寝室のドアの前がとても賑やかだ。
理由はよくは分からないけど、地竜さんを何がなんでもなかに通したくないウーさん。ドアの前に通せんぼうをして立ってるみたいだった。
「地竜さんとウーさん、本当に仲がいいよね。また喧嘩してるよ」
喧嘩するほど仲がいいとはまさにこのふたりのことだ。おっぱいをあげながら陽葵に話し掛けていたら、
「なんでお前がいるんだ?俺は幽霊でも見ているのか?」
狼狽した地竜さんの声が聞こえてきた。
「は?」
この怪訝そうな声は……弓削さんの声だ。
「その台詞、そっくりお前に返すよ。失礼なヤツだな。まさか幽霊扱いをされるとは思わなかった」
「ウーに加勢するとは非情な男だ」
「ウーも俺も姐さんの弾よけだ。俺たちは自分の仕事をしているだけだ。ウーがさっきから何度も言ってると思うが陽葵の授乳タイムが終わったら通してやる。だからもう少し待ってろ」
「待てない」
「は?どこのガキだよ。一太や奏音だってちゃんと待つことが出来るぞ」
「残念だったな。中身は甘えん坊の五歳児だ」
悪びれる様子もなくえっへんと胸を張る地竜さん。
彼とまったく同じことを言ってる。
それがおかしくて。陽葵におっぱいをあげながら込み上げてくる笑いを必死で堪えた。
ともだちにシェアしよう!