1904 / 3281

番外編 意外な訪問者

「柚、なんでお前がいるんだ?病院は?」 「無断で抜け出してきた訳じゃないわ。外出の許可はもらってるわ。奈梛いる?」 柚さんが鳥飼さんの首根っこを掴み姿を現したのはみんなで居間に集まりお昼ごはんを食べている時だった。 「母親失格の私が言ってもなんの説得力もないけど、奈梛に黙っていてもまわりの大人たちの顔を見れば何かあったんじゃないか、子供心にもそう思うはずよ。なんで母親も父親も迎えに来ないのかその理由をちゃんと奈梛に説明するのが鳥飼とフーの役目だと私は思うわ。黙っていてはダメ。嘘ついたらもっとダメ」 橘さんがちょうどご馳走さまをした奈梛ちゃんを台所に呼んだ。 「鳥飼さんと柚さんが大切なお話しがあるそうです」 「あ、とりしゃん」 奈梛ちゃんが破顔し鳥飼さんのもとに駆け寄った。 「お利口さんにしていたか?」 「うん、だっこ」 「分かったよ、おいで」 両手を差し出しぴょんぴょんと跳ねる奈梛ちゃんを鳥飼さんが笑顔でひょいっと抱き上げた。 「奈梛、鳥と柚から大切な話しがある。聞いてくれるか?」 うん、鳥飼さんの首根っこにしがみつきながら奈梛ちゃんはこくりと頷いた。

ともだちにシェアしよう!