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番外編 覃(たん)さん

「覃さん、はじめ……」 ドキドキしながら話し掛けると、 ー未知はアタシの自慢の妹なのよ。いやぁ~~ん、もぅ、人妻を口説かないでよ~~ー 千里さんの底抜けに明るい声が聞こえてきた。 「なんかますます頭が痛くなってきたような……」 彼が額に手を置いて深いため息をついた。 「楮山と上田の捜索をしている千里に、死神のメンバーを何人か助っ人に向かわせた。覃もそのひとりだ」 「だから千里と一緒にいるのか。なるほどな」 「覃は教団の内情に詳しい。シェドに引導を渡すのはオレの役目だと言ってきかない」 彼が未知が覃と話しがしたい。代わってくれと千里さんに頼んだけど、 「あ、あの……」 中国語で次から次に色んなひとに話し掛けられた。みんな早口で怒っているような口調だったから、怖くて、どうしていいか分からなくて。がたがたと手の震えが止まらなくなってしまった。 「未知大丈夫か?おぃ、地竜。さっさと覃を出せ。出入り禁止にするぞ」 彼の怒声に、 ーハジメテ、マシテー ようやく覃さんが出てくれたと思ったけれど。 「お前じゃない。覃はなにをしているんだ」 ー覃は幹部と千ちゃんファンクラブの連中と作戦会議の真っ最中だ。やっと楮山と上田の目撃情報が出た。あちこち転々としながら北上しているみたいだー 収集がつかなくなる前に笹原さんが電話に出てくれた。

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