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番外編 死出の旅
「そういえば一太と奏音は?まだ帰ってこないのか?」
辺りをキョロキョロと見回した。
光希さんママたちにお揃いのマグカップをプレゼントしたいと奏音くんに相談された彼。
新聞に取り上げられていた相双地方からK市に移住してきた相馬焼きの窯元さんのことを思い出し、さっそく体験教室に申し込んだ。
「茨木さんと根岸さんらが一緒だ。心配することはない」
「四つも作るんだ。手分けして作るとしても半日はかかる」
大丈夫だと地竜さんと柚原さんに言われたけど、お祖父ちゃんに電話を掛けて楮山と上田が北上していることを伝えた。
「そういえば遥琉。三本菅兄妹は?無事なのか?」
「あぁ。今のところはな。三本菅は楮山の自宅玄関のドアに灯油をまいて放火した容疑で都内の警察署に移送され取り調べを受けている。鈴木は入院中だ」
「千夏を助け出したら、ふたりを額田のもとに連れて帰ろうと思ったが無理そうだな。ふたりは知らなくてもいいことを色々と知りすぎた。緑竜に消されるのも時間だ」
石山の組長襲名式が大々的に執り行われたのち楮山組の組事務所は恐ろしいくらいに静まり返っていた。中国人と思われる派手な身なりをした目付きの悪い大男が日本人に混じり組事務所周辺をうろついていて、住民から怖くて外を歩けない。子どもが怖がり登校できないと苦情が相次ぎ、警察がパトロールを強化したと彼が話していた。
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