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番外編 死出の旅

「なんか嫌な予感がしてならないんだ」 「俺もだ」 「奇遇だな俺もだ」 「地竜も柚原もそう思うか?」 あと五分で到着する。お爺ちゃんからメールが届くと地竜さんと柚原さんを伴い一太と奏音くんの迎えに一階のエントランスへ向かった。 縣一家も菱沼組もちゃんと後継者が育っていて羨ましいな。写真では何度も見たが、最後に一度だけでいい。息子の面を拝ませてくれ。 陶芸教室を終えお祖父ちゃんたちと建物から出てきた一太と奏音くんを待っていたのは楮山だった。顔には火傷を負い、肩から腕に掛けて包帯をグルグルと巻き付け、舎弟たちに両脇を抱えられやっと歩いていた。 意思の強そうな目は母親にソックリだな。奏音くんを目を細め見つめたのち、柚にも藍子にも悪いことをしたと謝罪の言葉を口にした。 俺の故郷は石巻だ。両親は万石浦の南側にある小さな漁港で観光客を相手に牡蛎小屋を営んでいた。今は跡形もないがな。死に場所はそこだって決めてんだ。卯月にいつみが世話になった。礼を言っておいてくれ。 ふらふらと車に戻ろうとしたとき、猛スピードで一台のワゴン車が突っ込んできた。

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