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番外編 死出の旅

閑静な住宅街にキキキーッ、と車のタイヤが軋む音が響き渡る。 とっさにお祖父ちゃんが一太を、根岸さんが奏音を抱き上げ、身を挺して守ってくれたから事なきを得た。 「一太も奏音も見んでねぇ」 「じいちゃんたちがいいって言うまで目を閉じるんだ」 頭を撫でながら耳をそっと塞ぐと胸元にしっかりと抱き寄せた。 ふたりは言いつけをちゃんと守り、目を閉じて、いいよと言われるまでお祖父ちゃんと根岸さんの服にしがみついていた。 しばらくすると、がやがやと辺りが急に騒がしくなり、パトカーのサイレンの音が聞こえてきた。 「目を開けてもいいぞ」 恐る恐る一太が目を開けると、そこは道路の向かい側にあったコンビニエンスストアの駐車場だった。 「じいちゃん、あのおじちゃんはだいじょうぶなの?」 「楮山はただでは転ばない男だ。お腹が空いただろう。何か食べるか?」 「のどかわいた。あれ、すいとうどこにおとしてきちゃったんだろう」 パパに買ってもらった大切な水筒だ。 今にも泣きそうになりながらキョロキョロと辺りを見回した。 「かなたもすいとう、どこかにおとしちゃった」 それは奏音くんも一緒だった。 「抱き上げた時にでも落としたんだろう。じいちゃんたち、あとで探しておくから」 お祖父ちゃんと根岸さんがふたりを宥めた。その後コンビニエンスストアに立ち寄り、おにぎりと、留守番をしている姉弟たちにもお土産を買ってもらい、ようやく帰途についたみたいだった。

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