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番外編 死出の旅

楮山はある男性に依頼しずっと奏音くんの行動を監視させていたみたいだった。そのひとは一太と奏音くんが絶対に不審に思わない人物。登下校の際、黄色いチョッキを着用し通学路に立っていて、おはようございます。ありがとうございますとふたりが毎日必ず声を掛ける人物。 「一太と奏音が子ども見守り隊のおじちゃん、なんでこんなところにいるんだろう。自転車で来たのかな?なんで横断歩道を渡らないんだろう?誰か待ってるのかな、そんな話しをしていたんだ。その話しを聞いていた伊澤がすぐに犯罪の匂いを嗅ぎ付けた。さすがは職務質問のプロだ。現役時代と全く変わっていない」 伊澤さんはひとり別行動を取り、男性のあとをつけ楮山と接触していることを確認し、すぐに根岸さんに連絡を入れたみたいだった。 「楮山は死ぬ前に奏音が幸せか、どうしても確認したかったんじゃないかな」 「どうして?」 「愛した女の子ども……だからだ。楮山は藍子に心底惚れていたのかも知れないな」 「そんな……」 驚きのあまり声が出てこなかった。

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