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番外編 仕組まれた罠
「ディノンさんどこ行くの?」
黒い上着を羽織り肩にずた袋を担ぎ、誰にも見付からないように足音を忍ばせ外に出ようとした地竜さんだったけど一太に見付かった。
「ヤボ用があってちょっと出掛けてくる。ママや弟たち、妹たちのことを頼むな」
「まかせて。ディノンさん行ってらっしゃい。きを付けてね。へんなひとにこえをかけられても付いて行っちゃだめだよ」
「ありがとう一太。心配してくれるのか?」
「だってディノンさんがいないと、パパもママも一太もさみしいでしょう」
「そうか、ありがとうな」
一太の頭を笑顔で撫でると、涙を堪え地竜さんは東京へと向かった。
翌朝、子どもたちが登校したあと根岸さんが藍子さんに報告することがあるからと訪ねてきた。
「藍子さんや、おめさんをずっと苦しめてきた楮山が死んだぞ。遺骨の前で土下座させても謝らせたかった。すまんな、力及ばずで」
線香をあげると、両手を静かに合わせた。
「根岸さん、楮山さんが亡くなったって本当ですか?」
「仙台市内の繁華街でガラの悪い男たちが喧嘩していると110番通報があって、サツが駆け付けると頭部を撃たれすでに虫の息だった。病院に搬送されたがその後死亡が確認された」
根岸さんはやり場のない深い憤りに拳を震わせた。
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