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番外編 仕組まれた罠

「お二人を見ていると本当の兄弟みたいですね。仲が良くて羨ましいです」 「は?誰がだ?」 「ほらまたハモった。箸の持ち方も食べる順番も一緒、飲み物を飲むタイミングも一緒。二人を見ているとたいくんとここちゃんを見ているようです」 橘さんの言葉にギクっとするふたり。揚げ物を口に頬張ったまま、決まり悪そうに苦笑いを浮かべていた。 「遼成さんも龍成さんもまだまだ甘えたい盛りです。光希さんのことで喧嘩ばかりしていますが、最後はふたりのどちらかが一歩後ろに引いて譲るので、何年経過しても新婚さんのままです」 「新婚というか、ただのバカップルだ」 「確かにそうだな。縣兄弟に会うと必ず幸せオーラ全開、ラブラブっぷり全開で延々と惚気話しを聞かされるからな。たまったもんじゃない。でも、仲睦まじい三人だからこそ根岸は大事な孫と息子の嫁の遺骨を託そうと決めたんだと思う」 しみじみと語りながらジュースをゆっくりと口に運ぶ地竜さん。ここだけの話しにしてくれと彼に頼み、ある双子の女の赤ちゃんのことを話してくれた。ひとりは生まれつき耳が不自由で、もうひとりは生まれつき目が見えない。そのふたりも光希と縣兄弟に託そうと思うんだ。奏音同様に、たくさんの愛情を注いで育ててくれるはずだと。

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