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番外編 仕組まれた罠

「こんなにも楽しい夕飯、久し振りだ。遥琉ありがとう」 「縁起でもないことをいうな」 地竜さんはこれから東京に向かう。仲間と合流し、千夏さんがいるマカオに旅立つことになった。千夏さんの命が危険に晒されている。一刻の猶予もない。仲間から連絡があったみたいで当初の予定を大幅に変更せざるを得なかったみたい。 「たとえこれが最後の晩餐になったとしても後悔はない」 子どもたちが次から次に揚げ物をお皿に乗せたから、彼のお皿も地竜さんのお皿もてんこ盛りになっていた。 「なぁ、地竜。千夏を助け出したら今度こそ足を洗え。優先生に戻れ。おっかねぇボスの顔より、子煩悩なパパの顔のほうがお前には絶対に似合う」 「自分の引き際くらい心得ているよ」 幸せを噛み締めるように答えると、揚げ物を口に運んだ。 「シェドは教祖に就任し、まず手始めに反対派の連中を猛毒のシアン化合物を使い皆殺しにした。今回も使われたのはシアン化合物だ。生き証人の千夏がシェドに殺されるのを黙って見ている訳にはいかない。何年かかるか分からないがすべて片付いたら、その時は未知にデレデレの甘えん坊の優に戻るよ。約束する」 「おぅ、待ってるぞ」 お酒を飲めないふたり。お互いの健闘を祈りジュースで乾杯していた。恋のライバルというか、本当の兄弟みたいにふたりは仲がいい。

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