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番外編 兄ちゃんhelp!
「橘!」
弓削さんが血相を変えてすっ飛んできた。
「どうしました?」
「これを見てくれ」
両手を広げるとそこには血がついていた。
「悪露かも知れませんね。無理をしすぎて出血したのかも。すぐにズボンを交換しましょう。お腹が痛いとか、熱っぽいとかは」
「いいえ、大丈夫です」
そのとき背筋を悪寒が走った。
「オヤジに南先生に至急連絡するように頼んできます」
「お願いします」
弓削さんが手をグーに握り締め、駆けていった。
「血生臭い現場をいくつも見てきた弓削さんが動揺するなんて、珍しいですね。やはり未知さんは彼にとって守るべき特別な存在なんですね」
検診のとき南先生が子宮は綺麗だって話していた。自分では無理していないと思っていてもやっぱり体は正直だ。
陽葵におっぱいをあげて寝かし付けてから隣に横になった。
「上澤先生と斉木先生が無理は禁物と仰っていたでしょう。今夜はゆっくり休んでくださいね」
「有り難うございます」
布団を肩まで掛けてくれた。
たまたま偶然上澤先生が斉木先生に会いに来たみたいで。これから呑もうとしていたお酒を片手に菱沼金融から駆け付けてくれた。
あんなに怖い目にあったのに。心望はけろっとしていて。紗智さんと那和さんに遊んでもらい太惺とキャキャとはしゃいでいた。
大きい子どもたちは柚原さんと宿題の真っ最中だ。
陽葵のあどけない寝顔を見つめていたらぶるぶると枕元に置いたスマホが振動した。手を伸ばしスマホの画面を見ると千里さんからのメッセージが残されてあった。
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