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番外編兄ちゃんHELP!!
「千里、未知のことを寝せてやってくれ」
彼が足音を忍ばせて寝室に入ってきた。
ー誉は?ー
「さぁな。エントランスで物に当たり散らし、弾よけの舎弟たちを怒鳴り散らして引き上げていった。車を移動していた壱に難癖をつけて車を蹴りやがった。先々代の上を行く問題児だな。シェドと石山との接点は今のところ見付からないが、朔久とは連絡を取り合っていたみたいだ。誉は着信履歴とメッセージをすべて削除していたが、こっちには亜優がいる。ものの五分で復元した。笹原に復元したメッセージを送信してある」
ーさすがアタシの遥琉お兄ちゃんだわ。仕事が早い。有り難うねー
「だから、そのお兄ちゃんって呼び方は……」
ー別にいいじゃん。減るもんじゃないしー
クスクスと愉しげに千里さんが笑っていた。
「久弥は俺が責任を持って預かることにした。森崎にも言ったが、まずは心に受けた傷を治すのが先だ。何年掛かるか分からない。それでも待てるかと森崎に聞いたら、何年でも待てると即答した」
ーそう。久弥次第だげと、森崎にもようやく春が来るのね。良かったわー
「良くねぇ」
彼が急に不機嫌になった。
ーもしかしてそこに居座る気なの?ー
「鷲崎に、弓削が退院してくるまで久弥を誉や不埒な輩から守る。ここに残りたいと駄々を捏ねやがった」
ー遥琉お兄ちゃんも大変ねー
千里さんがクスクスと声を立てて笑いだした。
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