2092 / 4014
番外編 守りたい命があるから、生き直すチャンスを与えて下さい
そこへ現れたのは壱東さんだった。
「なんであんたがここにいるんだよ。死んだはずだ」
譲治さんが愕然とし、茫然自失となった。
「幽霊を見るような目で見るな。足はちゃんと付いているぞ。死の淵をさまよっていたら、根岸さんと茨木さんが助けてくれたんだよ。娘の仇を討つまでは何があっても死ぬな。死ぬんじゃねぇ。息子に親殺しをさせんじゃねぇって。ふたりに掛けてもらった言葉がどけだけ心強かったか。天国の母ちゃんにも顔向けが出来ないだろう」
なんと壱東さんと譲治さんは実の親子だった。
「なんでこっちの動きが楮山に筒抜けなのか、内通者がいるに違いない。遥琉を騙そうとするなんぞ100年早いんだよ。カミさんゾッコンの腑抜けの青二才のボンクラ……楮山は柚原同様遥琉のことも馬鹿にしていた。それが敵を欺く仮の姿だとも知らずにな。遥琉は昇龍会きっての切れ者だ。千里のそばにいてそのことに気付かなかったのか?」
度会さんのもとに、テキーラの一気飲みを相楽さんに強要され、急性アルコール中毒で緊急搬送された若い衆、三人の意識が戻ったと連絡が入った。
「相楽、喜べ。強要罪で逮捕状が出たぞ」
度会さんは相楽に自首するように助言したが、一切耳を貸さそうとはしなかった。
ともだちにシェアしよう!

