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番外編 守りたい命があるから、生き直すチャンスを与えて下さい

若い衆が手分けしてエントランスの掃除をしているときに彼が病院から戻ってきた。 「みんなを危険な目に遭わせてしまいすまない」 「オヤジ頭を上げて下さい」 若い衆が慌てて彼に駆け寄った。 「指は見付かったか?」 「それが……」 「そうか」 あやみさんの右の小指だけがどれだけ探しても見付からなかった。 弓削さんは病院で手当てを受けたのち、予定通り渡辺さんと東京へ向かった。 姐さんや子どもたちの顔を見たら行きたくなくなる。それに姐さんに余計な心配を掛けたくない。彼にそんなことを話していたみたいだった。 若い衆のみんなに労いの言葉と感謝の想いを一人ずつ伝えたあと、自宅にようやく戻ってきた。 「遥琉さん、あやみさんは?」 「指の縫合手術を受けている。思ったより出血の量が多い。予断を許さない危険な状態だ。奈梛は?」 「みんなと遊んでいる」 「そうか」 彼の表情は依然として険しいままだった。 「あ、あの……鳥飼さんは?」 緊張し声が上擦った。 「ドアの前で手術が終わるのをフーと一緒に待っている。フーに体を支えてもらい、なんとか座っている。新婚なのは分かるが、精も根も尽き果てるほどするのは考えものだ。少しは手加減してやれ。しつこいと嫌われるぞ。ほとほどがいいんだ。鞠家がフーに注意していた」 彼が上着を脱ぎ、片手でネクタイを緩めた。 「少し休んだら病院に戻るよ」 「遥琉さん、無理しないでね」 「ありがとう未知」 疲れきっている彼の顔を見るのが辛かった。

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