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番外編大切な人を守りたいから、生き直すチャンスを与えて下さい

ドアの近くに彼。彼の隣に太惺、心望、僕、陽葵の順で川の字で横になっていたら、かたんと静かにドアが開いて奈梛ちゃんがひょっこりと顔を出した。 「どうしたの?もしかして一緒にお昼寝がしたいの?」 恥ずかしそうにもじもじししながらこくりと頷く奈梛ちゃん。 「ちょっと狭いけどおいで」 笑顔で手招きすると、 「未知との距離がまた遠くなるじゃねぇか」 てっきり寝ていると思った彼からまさかの恨み節が出てきて驚いた。 「一人増えてもさほど変わらないはずですよ。心が狭い人ですね」 廊下から橘さんの声が聞こえてきたからどきっとした。 「ハルちゃんと同じ布団で一緒にお昼寝をしていたんですけど、気付いたらもぬけの殻になってまして。あちこち探し回ったら玄関にちょこんと座っていたんです。待てど暮らせど鳥飼さんが迎えに来なくて、このまま迎えに来ないんじゃないか、不安になったみたいです」 奈梛ちゃんはお姉ちゃんが見付かったことをまだ知らない。 「未知、俺が陽葵をみる。場所を交換しよう。奈梛、特別に俺の未知を貸してやる。未知の隣で寝ていいぞ」 彼と寝る場所を交換し、奈梛ちゃんの隣に横になると、奈梛ちゃんのほうからむぎゅーと抱き付いてきた。甘えるように頬をすりすりさせる仕草がなんとも可愛くて。自然と笑みが零れた。うちの子、よその子。そんなの関係ない。子どもはみんなの子。大切な宝物だ。

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