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番外編守りたい命があるから、生き直すチャンスを与えて下さい
奈梛ちゃんは眠そうにしていたけど、寝ぐずり泣きすることなく、ずっと親指をしゃぶっていた。
「未知は何があっても奈梛を叩かない。おじちゃんが保証する。だから安心して寝ろ。寝て起きたら大好きなりんりんママとフーが迎えに来てるぞ」
つぶらな瞳でじぃーと穴の空くほど見つめられ、さすがに恥ずかしくなった。
「おじちゃんの言う通りだよ。奈梛ちゃんねんねして待ってよう」
にこっと微笑み返し、頭を撫でた。すると、ようやく安心したのか、すやすやと眠りはじめた。
「未知におじちゃんって呼ばれる日がついに来たか」
彼ががっくりと肩を落とした。
「遥琉さんごめんなさい。そういうつもりで言ったんじゃないの。語弊があったら謝るから」
「慰めなくてもいいよ。どうせおじちゃんですよ」
すっかり拗ねてへそを曲げてしまった。
次に目が覚めたとき彼はいなかった。
「どうしよう橘さん」
「未知さん、遥琉はあなたに構ってもらいたくてしょうがないんです。ですから、拗ねたり、わざと困らせたりして、どんな反応をするか楽しんでいるんですよ。いちいち気にすることはありません」
彼が鼻唄を歌いながら機嫌良く病院に向かったと聞いて、ほっとひと安心した。
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