2095 / 4015

番外編守りたい命があるから、生き直すチャンスを与えて下さい

奈梛ちゃんは眠そうにしていたけど、寝ぐずり泣きすることなく、ずっと親指をしゃぶっていた。 「未知は何があっても奈梛を叩かない。おじちゃんが保証する。だから安心して寝ろ。寝て起きたら大好きなりんりんママとフーが迎えに来てるぞ」 つぶらな瞳でじぃーと穴の空くほど見つめられ、さすがに恥ずかしくなった。 「おじちゃんの言う通りだよ。奈梛ちゃんねんねして待ってよう」 にこっと微笑み返し、頭を撫でた。すると、ようやく安心したのか、すやすやと眠りはじめた。 「未知におじちゃんって呼ばれる日がついに来たか」 彼ががっくりと肩を落とした。 「遥琉さんごめんなさい。そういうつもりで言ったんじゃないの。語弊があったら謝るから」 「慰めなくてもいいよ。どうせおじちゃんですよ」 すっかり拗ねてへそを曲げてしまった。 次に目が覚めたとき彼はいなかった。 「どうしよう橘さん」 「未知さん、遥琉はあなたに構ってもらいたくてしょうがないんです。ですから、拗ねたり、わざと困らせたりして、どんな反応をするか楽しんでいるんですよ。いちいち気にすることはありません」 彼が鼻唄を歌いながら機嫌良く病院に向かったと聞いて、ほっとひと安心した。

ともだちにシェアしよう!