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番外編 守りたい命があるから、生き直すチャンスを与えて下さい

鳥飼さんが藍子さんの遺影の前に座り手を合わせていた。今はそっとしておこう。無言で立ち去ろうとしたら、奈梛ちゃんが目を擦りながら起きてきた。 「いい子にしてたか?」 「りー」 奈梛ちゃんは脇目も振らず鳥飼さんめがけて突進していった。 「元気になって良かった。どうした奈梛?」 奈梛ちゃんは不思議そうに鳥飼さんの顔を見つめたのち、はっきりと残る涙の跡を指でそっとなぞった。 「これはその……」 言葉に詰まると、目を潤ませた。 「奈梛の前では泣かないって約束したのに。ごめんな」 鳥飼さんは手で口を押さえると、わなわなと震えながら泣き出した。 「奈梛に今度こそあやみと再会させてやりたかったのに、なんてこの世は非情なんだ。まゆこには血も涙もないのか。我が子をふたりも………奈梛、お姉ちゃんが目を覚ますようにのんのさまに一緒に祈ろう」 こくりと頷くと、見よう見まねで小さなお手手を合わせた。 フーさんはあえて遠くからふたりを見守っていた。 「斉木先生の話しだと、このまま目覚めない可能性もあり得るそうだ。ようは植物状態だ」 「そんな………」 「指の縫合手術は成功したが、体内に残る破片を完全に取り除くことは難しいらしい。それに小指がなぜか現場から見付からない」 「まゆこさんが持ち帰った。そんなことないか」 「いや、ないとはいいきれないぞ。まゆこはサイコパスだ。なにを考えているか理解不能だ」 彼が肩をそっと抱き寄せてくれた。

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