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番外編 花さんの両親

「家内が待っているのでそろそろ戻ります。鞠家さん、なやちゃんに会わせていただきありがとうございます」 花さんのお父さんが鞠家さんや若い衆に軽く頭を下げて、階段を下りようとしたまさにその時。「パパ」花さんの声が聞こえてきた。花さんのお父さんがはっとして振り向くと、奈梛ちゃんが一太と一緒に笑顔で「バイバイ、またね」と手を振っていた。 「なやちゃんバイバイ、また会おうね」 花さんのお父さんの目から大粒の涙が堰を切ったかのように一気に溢れ出た。 「矢内さん大丈夫ですか?」 「私は大丈夫です。鞠家さん行きましょう」 気丈にも笑顔を見せて階段をゆっくりと下りはじめた。 壱東さんが運転する車でH総合病院に向かった花さんの両親を見送ったのち、彼は幹部を急遽菱沼金融に集めた。 「チカに連絡を入れた。これが何か調べてもらう」 茶封筒のなかに入っていたのは海外製のダイエットサプリメントだった。 「見るからに怪しげな錠剤だな」 「クッキー缶に、サプリメントに、連中も色々考えるな。ある意味天才だな」 彼も幹部の皆さんも舌を巻いていた。

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