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番外編 未知、おひさ~~!
そんなことを橘さんと話していたら、
「未知~~おひさ~~」
甲高い声とともにチカちゃんが現れたからビックリした。だって彼が電話してまだ一時間も経過していない。手になぜかハイヒールを持っていた。
「抱えていた案件がひとつ解決したから、二週間ぶりに休みをもらったの。休日を久し振りにダーリンと過ごそうと思って、新幹線に乗ろうとしていたらハルくんから電話が掛かってきたのよ」
「お帰りなさいチカさん」
橘さんがゴホンとわざとらしく咳払いをした。
「あら、アタシったら。やぁ~ね。ただいまがまだだった。急いで来たからハイヒールのヒールが取れちゃったの。ダーリンにプレゼントされたものなのよ。なんとか出来ない?」
「分かりました。任せてください」
「ありがとう橘~~好き~~」
チカちゃんがハグしようとしたら、
「彼と未知さんに焼きもちを妬かれますので。そのお気持ちだけありがたく受け取っておきますね」
やんわりと断った。
「未知はハグさせてくれるよね?嫌だって言わないわよね?」
真顔でぐいぐいと迫られ、
「は、はい、大丈夫です」
大きく頷くと、
「ただいま未知。会いたかったわ」
ようやく笑顔を取り戻したチカちゃんにむぎゅーっとハグされた。
「あれ?香水を変えましたか?」
いつもと違うような。気のせいかな?
「うれしー。気付いてくれたんだ。ありがとう未知」
チカちゃんの腕にぐいと力が入り、きつく抱き締められた。
「チ、チカちゃん。く、苦しい。力を、緩めて……ください」
手をバタつかせた。
「チカさん」
「マー」
橘さんがチカちゃんを注意しようとしたら、ウーさんが鬼のような形相ですっ飛んできた。
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