2120 / 4014
番外編 未知、おひさ~~!
「アップ。メ」
ウーさんが頬っぺを膨らませてチカちゃんを睨み付けた。それを見たチカちゃんがぷぷっと笑い出した。
「一太はママを守る小さなヒーローで、ウーはマーラブのおっきなヒーローだね」
すっと腕をほどいてくれた。
「ウーのあっぷ、め。たいくんとここちゃんみたいで可愛いんだけど。未知もそう思うでしょう」
「はい」
チカちゃんは笑いの壺に入ったみたいで、お腹を抱えしばらくの間笑っていた。
「チカさん、こんなところで油を売っていていいですか?あの聞いてます?」
橘さんの眉間にどんどん皺が寄っていった。
「チカちゃん」
慌てて袖を引っ張った。
「雷が落ちるよ」
「雷?こんだけ晴れてるのに?」
「だから、そっちの雷じゃなくて」
どうしたらチカちゃんに伝わるんだろう。日本語って難しい。
「チカ、マーが言いたいのは橘の頭に角が生えてるってことだよ」
グットタイミングで那和さんが助け船を出してくれた。
「角?やぁだ、怒らないで~~。大人しく組事務所に行くから。あ、そうだ。橘、靴を借りてもいい?」
「いいですよ。サイズが合えば好きなのを履いて構いませんよ」
「ありがとう。未知、また来るね。バイバイ」
橘さんに睨まれ、チカちゃんは脱兎のごとく逃げ出した。
「相変わらず賑やかなひとですね」
橘さんはヒールが取れたハイヒールを眺めながら、苦笑いを浮かべていた。
ともだちにシェアしよう!

