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番外編 桜舞う日、俺は天使に出会ったんだ

うとうとと眠りはじめた陽葵を起こさないようにそっと布団の上に寝かせたら、いつものようにふぇ~ん、ふぇ~と大きな声で泣き出した。 「泣き顔はハルくんのちっさいころにそっくりね。おいでひまちゃん。ママを少し休ませてあげようね」 チカちゃんが頭を支えながら抱き上げてくれた。 「ありがとうチカちゃん」 「未知、胸」 「胸?」 胸を出しっぱなしだったことに気付いて慌てて服を直した。 「ご、ごめんなさい」 「ハルくんみたいにおっぱい星人じゃないから」 「おっぱい星人ってなんですか?」 聞き慣れない言葉に首を傾げて聞き返すと、「未知ってほんと、うぶよね」 チカちゃんにクスクスと笑われてしまった。 「しかしまぁ、おっきい子どもから小さい子どもまで、なんでみんな狭いところが好きなんだろうね」 紗智さんと那和さんと遥香、心望、太惺、奈梛ちゃんは寝室。 太惺以外の男の子は全員橘と柚原さんの部屋にそれぞれ分かれて寝ることになった。 「みんなマーっ子なのに、バーバと地竜ばっか、マーを二人占めしてズルい」 「そうそう。もっとマーに甘えたいのに、甘えられないんだよ」 心望と太惺に添い寝して寝かし付けてくれていた紗智さんと那和さんがここぞとばかりに彼や地竜さんの悪口を言い出した。 「マー、電話鳴ってない?」 紗智さんが枕元に置いていたスマホを取ってくれた。 「千里さん……じゃない。千里お姉ちゃんからかも知れない。なんか慣れないから緊張するね。手が汗でびっしょりだ」 「誰だって初めては緊張するもんだよ」 「マー頑張って」 「ありがとうふたりとも」 紗智さんと那和さんに背中を押され、ひとつ深呼吸をしてから電話に出た。

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