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番外編 バイチー

「尊が言うにはその男とダオレンは契兄弟。本当か嘘か疑った。でも、ウーとフーが契兄弟だったって聞いた。黒竜では新入りの面倒は兄貴分がみる。兄貴分が手下に命じ新入りとの体の関係を強要し契兄弟になる。組織から逃げ出さないように、そして組織の秘密を守るためにお互いを監視させる。話しをしていたら信じる気になった」 気配もなく青空さんが現れたら腰を抜かすくらい驚いた。 「地竜はあの顔だ。新入りからモテモテだった。誰もが契兄弟になりたがり、寝所に忍び込んだ者もいる。でも、地竜は誰とも契らなかった。遠く離れた日本で待つひとがいる、そうずっと言っていたらしい。尊は、ダオレンがその男を隠し玉。最後の手と言っていたのを聞いた。だからボスに伝えた」 青空さんのいうボスとは千里さんのことだ。 「姐さんの手配書が出回ったということは、ダオレンが関与している。ダオレンの後ろにはその男がいる。ダオレン以外は、名前も年も顔も分からないからやりたい放題?いや、違う。裏で動きたい放題だ。俺の勘だが、この男はダオレンよりもっとヤバイ気がする。ウーは新婚だ。旦那も子どももいる。弾よけを外してくれ」 「新婚はお前も同じだろう」 「でも子どもはいない。俺は大丈夫。尊に会うまでは死ぬつもりはない。それに弓削と男の約束をした。破るわけにいかない」 腕を前で組みしばらく考え込んだのち、彼が出した答えは……。

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