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番外編 バイチー

「ダオレンの元飼い主に聞いたらなにか分かるんじゃないか?」 彼が地竜さんに電話を掛けた。 「あ、切りやがった」 そのあと三回かけ直したけど繋がらなかった。 「僕が掛けてみる」 地竜さんに電話を掛けるとワンコールで出てくれた。 「たく人を選びやがって。あとで覚えておけ」 ー基本、妻以外の電話には出ないことにしているんでね。緊急の場合は別として。未知、どうした?何かあったか?ー 「地竜さん、あの、僕の手配書が……」 ー覃から聞いた。イェンは足を洗ってカタギになったはずだ。風の便りで、もうじきカミさんとの間に待望の第一子が産まれると耳にした。本当か嘘かは分からないがー 地竜さんはいつもと変わらず穏やかな口調だった。 ーこれでも怒ってるよ。イェンにもだが、遥琉にもだ。きみを一人占めするなんて100年早いー イェンさんは顔のない男。常にフードを目深く被り、野暮ったい黒縁メガネを掛け、マスクで口元を隠している。地竜さんも一度しか素顔を見たことがないみたいだった。

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