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番外編 バイチー

ーといってもちらっとしか見ていないんだが。日本語がやけに上手な癖に、中国語は挨拶程度しか喋らない。無口な男だー 「相思相愛のダオレンとなんで別れたんだ?」 ー無口で武骨でつまらない男と一緒にいても楽しくないだろうー 「そうか?俺はそうは思わない。色んな男がいるから楽しいんだろう。全員同じだったら、それこそただのロボットだろう。意思も感情も持たず命令されてただ動くだけ。そっちの方がつまらない」 ーたまにはいいこと言うな。さすが俺のマブダチー 「褒めても何も出ねぇぞ。それより地竜、なんで白痴《バイチー》なんだ?悪人ってことは大勢仲間を殺したってことか?」 ー白痴は宇宙人みたいな男だ。何を考えているかさっぱり分からない。ダオレンがよく愚痴っていた。白痴の理由は覃に聞けば分かるー 「そうか、分かった」 ー遥琉、覃が迷惑を掛けているようですまないー 「新入りを監視してくれているからこっちとしては助かってるぞ」 ーそれなら良かったー そのあと地竜さんと少しだけ会話をして電話を切った。 彼は鞠家さんとウーさんと蜂谷さんを呼んだ。 「斉木先生と陽彩を泣かせないためだ。分かるなウー」 鞠家さんが彼の言葉を通訳してくれた。ウーさんも男の名前だけは知っていた。 「俺が呼ばれったってことはピンチヒッターってことだな。青空とはやたらと共通点が多いし、まぁ、なんとかなるだろう」 蜂谷さんは二つ返事で引き受けてくれた。

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