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番外編 バイチー
「青空宜しくな」
蜂谷さんが右手を差し出した。
「なぜにハチ、お前となんだ?」
「ボスの命令もオヤジの命令も絶対だ。断ることは許されない。そのくらい分かるだろう」
「そもそも俺とハチは共通点なんかないだろう」
「は?」
とんちんかんな答えで来るだろうと予想していた蜂谷さん。その読みはぴたりと当たっていた。
「いいか、青空。一回しか言わないからちゃんと聞けよ」
「分かったぞハチ。新婚と、マイハニーは檻のなかだ。俺って天才。ハチの心が読めたぞ」
「はい、はい、良かったな。取り敢えず握手しようか?」
「そうだった。ハチ宜しくな。ハチのハニーの話しがいっぱい聞ける。嬉しいぞ。俺もハニーの話しをいっぱい聞かせてやるから楽しみにしてろ」
「仕事を疎かにしなければ聞いてやる」
「分かった。受けて立つ」
青空さんが蜂谷さんの手をがっしりと握った。
「イタタ、力を緩めろ。痛いだろう」
「おっと、すまない。バカ力なもんで、加減の仕方がいまいち分からないんだ。許してくれ」
「いや、わざとだろう」
「違うな」
青空さんが機嫌よく笑いながらすっと手を離した。なんだかんだといいながらふたりは仲がいい。
「姐さん、俺らそんなに仲良くないから。誤解しないでくださいね」
心の声を蜂谷さんに聞かれてしまった。
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