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番外編 いつか、甥に会えると信じて
「未知さんはいつもモテモテだな」
度会さんに不意に声を掛けられたらどきっとした。
「疲れているだろうから起こさなくていい」
度会さんがよっこらしょとかけ声を掛けながら隣にゆっくりと腰を下ろした。
「紫に、そこは橘じゃなく未知さんを立てるのが筋だと言われてな。配慮が足りなかった。すまなかった」
頭を下げられ僕のほうが驚いた。
「僕、気にしてませんから」
慌てて首を横に振った。
「この空は海を越えて、向こう側の大陸へと続いている。生きていればいつか甥に会える。そう信じて紫と二人菱沼組を必死で守ってきたんだ」
度会さんが雲ひとつない青空を見上げた。
「チカさんならきっと大丈夫よ。ほら、頑張って」
お昼はとうに過ぎている。おにぎりをお盆に乗せ、チカちゃんがおっかなびっくりそぉーと僕たちに近づいてきた。
「怖がらなくてもいいぞ。別に取って食ったりはしないから。飯を持ってきてくれたのか、チカ、ありがとう」
「アタシが握ったから、ちょっと自信ないけど……」
「腹に入れば一緒だ」
「未知さんも一つどうだ?」
「ありがとうございます。あ、でも、彼が眩しくて寝れないみたいだから、あとで食べます」
「あとでって、夕方になっちまうぞ。紫、悪いがタオルを持ってきてくれ」
紫さんがタオルを持ってきてくれて、鼻と口を塞がないように彼の顔にそっと掛けてくれた。
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