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番外編 じぃじにきてほしい
ー観葉植物を調べたら、見るからに怪しい錠剤がビニール袋に入った状態で埋められてあった。伊澤が例のサプリメントじゃないかってー
「そうか」
ーオヤジ、譲治がminiSDをどっからか拾ってきたと聞きましたがー
「橘と鍋山には車の中で見つけたと話しをしている」
ー車の中ですか……ー
「どうした?何か気になることでもあるのか?」
ーいえ、別になんでもありませんー
「怒らないから話してみろ」
ーオヤジがそこまで言うならー
神妙な面持ちで根岸さんと電話で話す彼。
奏音くんがじっと見つめていることに気付くと、
「なぁ根岸、来週の火曜日、体、空いているか?」
ーオヤジが空けろと言うなら空けますがー
「そうか」
彼が奏音くんを手招きして呼んだ。
「こういうことは自分で頼め」
しゃがんで片膝を立てると、スマホを小さな耳にあてた。
「あ、あの、じぃじ」
ーお、奏音か?ー
「うん。かなただよ。あのね、その日参観日なんだ。じぃじに来て欲しいなって、そう思ったんだ」
ーもちろん行く。誘ってくれてありがとうー
「体育なんだ。だから、いっしょに走るきょうぎもあるから、その……」
ーじぃじ、若い者には負けないぞ。任せておけー
「うん」
奏音くんの目が嬉しくてたまらぬというようにキラキラ輝いていた。
根岸さんの声もいつもより弾んでいた。
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