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番外編 電話の相手は………
肝心要の名前が出てこなかった。
ー用がないなら切るぞ。俺は忙しいんだー
「まだ切らないでください」
ー未知か?なんできみが龍成のスマホを持っているんだ?もしかして龍成は福島にいるのか?ー
あ、そうだ。思い出した!
この声の主はお姉ちゃんLOVEの甲崎さんだ。
「スピーカーにしてくれるか?」
龍成さんに言われた通りにした。
「両手に天使で代わりに掛けてもらったんだ。甲崎、椎根金融の件でひとつ調べて欲しいことがある」
ー千ちゃんの現役時代の秘蔵のプロマイドをくれるなら考えてやってもいいぞー
「は?」
ー冗談だよ。冗談。代わりに未知のベイビーの写真を見せてくれ。一ヶ月過ぎたし、生まれたときと顔がずいぶん変わったと思うんだ。隣で騒いでいる人に渡すからー
未知ーー!って誰かが騒いでいる声が漏れ聞こえてきた。
「上総さんか?」
ーご名答。将棋の真っ最中だ。誤解するなよ、これも仕事の一環だー
「もしかして龍一家の組事務所にいるのか?」
ーそうだがー
「あとで掛け直す。未知、切っていいぞ。子どもたちがうるさくて起きる」
龍成さんにそう言われたものの、なかなか切ることが出来ずにいたら、
ー龍、その電話、切ったらぶっ殺すぞ!ー
ドスのきいた低い声が聞こえてきた。
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