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番外編 ひろお兄ちゃんとお義父さん

ー龍、抜け駆けは駄目だろう。行くなら行くって俺も誘ってくれればいいのに。水臭いぞ。家だって近いのに……ー 「悪い」 ー龍、椎根金融がどうしたって?ー 「詳しいことはあとでメールする。奏音のクラスに、かいとっていう子がいるんだが、どっかで会っているんだが、肝心なことが思い出せないんだ。目付きが鋭くて、なかなかいい面構えをしている」 「でも口はかなり悪いぞ。ヤクザなんて大嫌いだ。奏音たちをクソ以下呼ばわりして、奏音を泣かせた」 ー何だと?ー お兄ちゃんの声色が変わった。 「口だけは一丁前のガキ大将だ。新しい父親に懐かないんだろう。だから、問題行動ばかり起こしている。瀧田になる前は、今野《こんの》だ。海を翔ぶと書いて、海翔《かいと》だ。今野は椎根の客だった」 ーなるほどなー ーもういいだろうー ー福島に帰れば毎日未知と子どもたちに会えるあなたが羨ましいですー ー嫁と孫が儂の元気の源だ。転出届がまだだったから、その手続きをするために一旦、帰ってきただけだ。未知さん、儂がいなくて寂しいと思うが、すぐに帰るから待っててくれよー ー未知、待ってなくていいぞー 電話の向こう側はとても賑やかだった。

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